公平な地盤調査とは
地盤調査とは何か?
・新築の住宅を建てたい・マンションを建てたい・店舗を建築したい。
あるいは現在住んでいる自宅や店舗の地盤を調べてみたい。こういった目に見えない地盤の状態を調べたい場合には、地盤調査を行うことで地盤が良い・悪い、液状化が発生する可能性があるなどの疑問や不安に対する答えを出すことができます。
地盤調査で何を調べるの?
地盤調査で最低限調べなければいけないことは「支持力(しじりょく)」と「沈下(ちんか)」の2つです。この2つの安全性を的確に判断することが地盤調査を行う目的となっています。
支持力と沈下とは何か?
・支持力(しじりょく)
支持力とは、地盤に荷重が加わった時にその重さに耐えきれずに地盤が破壊するかどうかを評価する値です。
公園の砂場で砂山を作ることをイメージしてみてください。その砂山に体重75kgの私が乗ると、その重さに耐えきれずに砂山は崩壊してしまいます。これは、この砂山が私の体重75kgを支える支持力が不足しているということになります。
一方、この砂山に体重25kgの私の息子が乗ると砂山はビクともしません。これは、この砂山が息子の体重25.5kgを支える支持力があるこということになります。
このように支持力とは、地面に荷重を加えた時、どのくらいの重さまで破壊しないで耐えることができるかを調べることを目的としています。厳密にはもっと細かい検討を行いますが、イメージとしてはこんな感じです。
・沈下(ちんか)
沈下とは、地盤に荷重が加わった時にその重さにより地盤の堆積が変形するかどうかを評価する値です。
漬物を漬けることをイメージしてみてください。樽の中に白菜を敷き詰め、漬物石を乗せます。白菜が土のイメージです。漬物石の重さで白菜の水分が絞り出され白菜は徐々にシボんでいきます。
これは白菜の水分が抜けることで、白菜の堆積が変形したことを意味しています。
土の上に家や店舗を建てると、その重さにより土の中に含まれる水分が抜けて土が沈下する場合があります。この時に土の上に建っている家や建物も傾いたりする現象が沈下と呼ばれます。
このように沈下とは、地面に荷重を加えた時、どのくらいの重さまで変形しないで耐えることができるかを調べることを目的としています。厳密にはもっと細かい検討を行いますが、イメージとしてはこんな感じです。
公平な地盤調査とは
公平な地盤調査とは、これまで記載してきた「支持力」・「沈下」について明確な根拠をもって検討を行っていることが第一歩となります。必要に応じて、液状化検討や斜面の安定検討も含まれます。曖昧な表現ですが、これら検討をしっかり行う会社は非常に少ないのが現実です。
支持力は、スウェーデン式サウンディング試験、ボーリング試験、平板載荷試験など殆どの試験から求められる値です。
しかし根拠をもって得られる支持力は、「ボーリング調査を行い、かつ室内土質試験を行って得られる値から検討する」方法か、「平板載荷試験」から得られる値です。 スウェーデン式サウンディング試験やボーリング調査のN値のみから求める支持力は、換算値であることを知っておく必要があります。沈下は、厳密にはボーリング試験と室内土質試験の圧密試験を行って得られる値から検討する値です。
様々な沈下に対する解析手法が検討されていますが、特にスウェーデン式サウンディング試験から根拠をもった沈下検討は行うことはできないことを知っておく必要があります。地盤調査の落とし穴
地盤調査は目に見えない土の中を手探りで推測する仕事です。地盤調査を行っても100%の答えを導き出すことはできません。
私の経験では50~60%の答えを引き出せれば、かなりの精度を得られたと感じます。地震予知に限界があるのと同じイメージです。つまり、スウェーデン式サウンディングやボーリング調査などを単体で行ったとしても、地盤の全てを把握することは非常に難しい事実を知って頂きたいのです。
住宅の地盤調査で多く用いられるスウェーデン式サウンディング試験は、病院の検査に例えると聴診器レベルの精度です。ボーリング調査や室内土質試験は、採決と血液検査に相当する精密検査です。 地盤を詳しく調べるには、スウェーデン式サウンディングやボーリング調査を併用して行う等、目的に応じて様々な調査方法を組み合わせて、検討余地を広げていくことが大切だと考えています。